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ST1-T/MT1-A (爛 / 徳田秋声, 赤のハイヒール / 橘マロン) - KATARI.mp3

ST1-T/MT1-A (爛 / 徳田秋声, 赤のハイヒール / 橘マロン) - KATARI.mp3
[00:00.000] 作曲 : 間宮丈裕 [00...
[00:00.000] 作曲 : 間宮丈裕
[00:01.000] 编曲 : 神尾晋一郎/ゆよゆっぺ
[00:03.000]徳田秋声「爛」
[00:09.722]橘マロン「赤のハイヒール」
[00:17.025]物心ついたときから、父の姿はなく、
[00:21.436]幼少のころは幾度となく母にたずねてみたが、
[00:25.276]そんな人は始めからいない、と言われた。
[00:29.302]初めての土地というのを、これまであまり経験したことがない。
[00:33.425]信号が変わったことを告げるチープな電子音に顔をあげると、
[00:37.302]横断歩道の向こう側に母娘の姿が見えた。
[00:40.659]幼稚園児くらいの子どもが、
[00:42.458]横断歩道の白とグレーの間で母親の手にぶら下がりながら飛び跳ねている。
[00:48.123]どこにでもある日常の一コマが、
[00:50.702]何か特別な意味を持つ心象風景になった。
[00:56.634]日ごろ張り詰めていた胸の悩ましさから、
[01:01.121]急に放たれたような安易な寂しさが、心に漲って来た。
[01:10.218]物思いに耽っていたが、展開せずに、
[01:14.652]幕のおりてしまったような舞台の光景がもの足りなくも思えた。
[01:25.534]ただ、できるだけ早く母親と離れて、
[01:29.914]自分の力で生きてみたかった。
[01:34.048]ブザー音が車内に鳴り響き、ゆっくりと電車は動き始めた。
[01:40.379]左右には田畑が広がり、秋の実りが鮮やかだ。
[01:45.000]幾重にも重なる黄金色の稲穂が目に眩しい。
[01:50.377]ちがう、うちのお母さんは昼に働いてないし、
[01:54.253]夕飯はたいていコンビニの弁当で、
[01:57.020]洗濯は自分でしている。
[01:59.112]夜になると化粧をし、
[02:00.943]派手な服を着て、香水をまとい、
[02:03.746]赤のハイヒールを履いて、部屋を出ていく。
[02:07.405]たばこと酒の匂いで夜中に目が覚めることもあったが、
[02:11.504]朝になっても、母の姿がないこともしばしばあった。
[02:18.767]日ごろ張り詰めていた胸の悩ましさから、
[02:23.439]急に放たれたような安易な寂しさが、心に漲って来た。
[02:32.508]物思いに耽っていたが、展開せずに、
[02:36.975]幕のおりてしまったような舞台の光景がもの足りなくも思えた。
[02:47.006]目が覚めた時には、男のサンダルも赤のハイヒールもなくなっていた。
[02:52.153]車両がレールの継ぎ目を通過するガタンという音が不規則に響く。
[02:57.060]電車がゆっくりと減速し、窓際に座っていた女子高生が席を立った。
[03:02.726]空を眺めてみる。
[03:05.012]淡い青に薄墨を垂らしたような雲が流れている。
[03:08.778]どこからか畑を焼く匂いが漂ってくる。
[03:13.555]短い間ではあったが、
[03:15.578]それまで積み上げてきたものがすべて崩れ落ちてしまった。
[03:19.176]一瞬の出来事が、ほんの少しの奢りが、すべてを壊してしまった。
[03:24.653]とりあえず歩いてみよう。
[03:26.631]およそこの場には似つかわしくない、それを手にさげ、
[03:29.554]一本道の先に目を凝らしてみる。
[03:32.541]この先に何があるのかはわからないが、
[03:35.107]このまま進んでいくことは、
[03:37.168]あながち間違いではないような気がしている。
[03:41.297]日ごろ張り詰めていた胸の悩ましさから、
[03:45.631]急に放たれたような安易な寂しさが、心に漲って来た。
[03:54.649]物思いに耽っていたが、展開せずに、
[03:59.382]幕のおりてしまったような舞台の光景がもの足りなくも思えた。
[04:09.640]やがて新しい幕が、
[04:16.281]自分の操り方一つで
[04:23.258]そこに拡がって来そうであった。
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