SS1-KIY1-H(今日 / 西東三鬼, 復興の果て / 従野いちに) - KATARI.mp3
能正常播放的歌曲才可以下载
[00:00.000] 作词 : 神尾晋一郎[00:01.000] 作曲 : 間宮丈裕[00:02.902]平成七年の冬、私は遊ぶことに取り憑かれていた。[00:09.202]その日も例にもれず、クラブで爆音に身を晒し、[00:14.152]女の子に声をかけてはフロアを行ったり来たりしていた。[00:20.457]西東三鬼「今日」[00:24.259]従野いちに「復興の果て」[00:30.621]得体の知れぬ巨大な怪物がうねり声をあげ、[00:36.054]はるか彼方より地下深くをものすごいスピードで[00:41.158]近づいて来たかと思うと、[00:44.418]どーんと地表を突き破って現れたのごとくだった。[00:50.410]私と女は、大男がつまんでいたずらにゆすってみせる[00:57.356]マッチ箱の中に入れられた小人さながらだった。[01:02.606]折れそうに細いヒールを見て、[01:05.671]私はその先で鋭くつつかれた心持ちになった。[01:11.603]電車でわずか数十分の距離に[01:14.612]いかほどの隔たりがあるのか。[01:16.966]月の出の生々しさや 湧き立つ蝗[01:29.001]岩山の蟻に運ばれて 蝶うごく[01:40.502]かつてと変わらぬ日常が流れていることは当然罪にはあたらない。[01:48.000]ただ実体験の欠損に基づく無理解は、[01:53.238]悪気がなくともひとを傷つけることがあるのだと思い知らされた。[02:00.794]とはいえ、破壊せんとするときに初めてその変わり果てた姿、[02:07.353]日常であるかのように錯覚していた非日常は、[02:11.786]目の前に立ち上るのだ。[02:15.412]カレンダーには赤丸で予定が記され、[02:19.017]朽ち果てたコンビニ袋の中にはペットボトルが[02:22.888]入ったままである。[02:28.000]私は彼女に会いたいと思う。初めて声をかけた時の、[02:33.620]煙草をふうと夜明け前の空に吐き出した、彼女の姿が思い出される。[02:41.000]恐れを知らぬ少女の、出窓と共に地面に叩きつけられていたかもしれぬ、[02:46.483]しかしそれをまぬがれ、知り合ったばかりの私の後を[02:50.394]のこのことついて来た彼女の姿が。[02:53.631]月の明るい晩だった。[02:55.583]私は彼女の言葉を聞きながら、アスファルトの上の、[02:59.341]初めて見た月光による自分の影を見ていた。[03:03.290]それは交わりはせずとも離れもせず、同じスピードで、[03:07.388]彼女の影と並んで坂道を登っていくのだった。[03:14.000]月の出の生々しさや 湧き立つ蝗[03:26.000]岩山の蟻に運ばれて 蝶うごく[03:36.563]黒き蝶 ひたすら昇る 蝕の日へ
展开